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新型コロナウィルス後遺症外来

新型コロナウィルス後遺症外来

新型コロナウィルス感染症は、いまや誰でもかかる可能性のある病気です。その症状の種類や重症度は様々です。そして感染症が回復した後に、後遺症に悩まされる方も少なくありません。後遺症は感染時の症状の有無や重さに関わらず、様々な症状が起こる場合があります。当クリニックでは、新型コロナウィルス感染症外来を設置し、後遺症に悩む患者さまの治療を行っています。

後遺症の症状について

新型コロナウィルス感染症の症状としては、一般の風邪の症状から高熱、関節痛、全身の倦怠感、咳、呼吸器障害などの症状が現れます。多くの人が一カ月ほどで快方に向かいますが、急性期を過ぎても味覚障害や倦怠感、めまい、微熱など、様々な症状が残ってしまう場合があります。こうした症状が一カ月以上、続いてしまう状態は、新型コロナウィルス感染症後遺症(海外ではLong Covid;長期コロナと呼んでいます) ではないかと考えられています。診断基準や調査方法が各国で異なるため推定となりますが、3ヶ月以上、症状が続く人は、5〜10%程度存在するとされています


新型コロナウィルス感染症後遺症の症状としては、以下のようなものが考えられます。


  • 強い倦怠感や疲労感
  • 味覚・嗅覚障害
  • 激しい咳や痰
  • 息苦しさ、呼吸困難、動悸
  • めまい、不眠
  • 長期にわたる下痢や腹痛
  • 脱毛、爪の変形
  • 頭痛、関節痛
  • 頭がぼんやりして靄(もや)がかかったような感じ
  • 耳鳴り、四肢の感覚の低下 等

新型コロナウィルス感染症後、以上のような症状が一カ月以上続く場合は、新型コロナウィルス感染症後遺症とも考えられますので、一度、ご相談ください。

原因について

新型コロナウィルスは、体のいろいろな部位の細胞、特に肺や血管の内層に見られる受容体に付着しすることで、心臓や、肺、腎臓、脳、腸、さらには膵臓の細胞などに影響を与えます。新型コロナウィルスに感染すると、ウィルスを倒すため、体内で炎症反応が起きます。この反応が上手くコントロールされないと、サイトカインと呼ばれる化学物質の産生が起こります。新型コロナウィルス感染症後遺症の原因は、まだよくわかっていませんが、これにより、自分の体の細胞に対して、様々な損傷を引き起こしていることが原因ではないかとも考えられています。


さらにこの反応によって血液が固まりやすくなり、血栓が形成されやすくなります。それが体の各所で詰まり、臓器の一部への血液供給を遮断ししてしまうことで損傷を与えます。初期の症状が軽い場合でも、体のさまざまな部位にダメージを受けている可能性があり、それが後遺症の原因になっているのでは、とも考えられています。

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群 (ME/CFS)について

強い倦怠感や疲労感、また頭がぼんやりとして靄(もや)がかかったような症状(ブレインフォグとも呼ばれます)は、重症化すると、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群 (ME/CFS)に移行する事例も紹介されています。ME/CFSは、作業をしたり、体を動かしたりした後、極度の疲労などを引き起こす疾患で、原因はまだよくわかっていませんが、他の感染症の後遺症としても現れることのある病気です。その症状は、動いた直後ではなく、1日たった後に出ることもあります。無理をせず、家で静養することが大切だと考えられているものです。

慢性上咽頭炎について

新型コロナウィルス感染症後遺症の諸症状は、慢性上咽頭炎が引き起こされていることによるのではないか、という指摘もあります。上咽頭は、口蓋垂(のどちんこ)の向こう側の壁の上部分で、壁が中咽頭、その下が下咽頭となります。中咽頭と下咽頭は食物と空気が通る交差点となっており、口腔内と同様に表面は扁平上皮で覆われ、守られています。その一方、上咽頭は空気のみの通路のため、鼻腔や気管と同じく表面は繊毛上皮で覆われています。


この上咽頭部分には、外からのウィルス侵入に対する備えとして、多数のリンパ球が存在しているとされています。また、様々な神経も集まっていると言われています。この上咽頭が慢性的な炎症を引き起こすと、新型コロナウィルス感染症後遺症の諸症状が現れるのではないかと考えられています。

検査について

新型コロナウィルス感染症後遺症には、他に類似の症状を示す疾患もあるため、それらの疾患を見逃さないよう、あらかじめ検査することが重要になります。また新型コロナウィルス感染症により、臓器に障害を起こしている場合もありますので、その状態を確認するための検査も必要になります。


検査としては、採血、胸部レントゲン検査、超音波検査、呼吸機能検査、新型コロナ抗体検査など、全身的検査を行います。特に、血液検査によって膠原病や甲状腺疾患、血管炎、貧血の有無などに注目し、調べていきます。さらに心筋炎や不整脈、脳梗塞、肺炎、膵炎、逆流性食道炎など、新型コロナウィルス感染症によるダメージが残っていないかも検査していきます。


脳梗塞などの原因となる、新型コロナウィルス感染症による血栓症の確認としては、血液検査でD-ダイマー測定を行います。D-ダイマーとは血栓が形成・溶解されることに関連して生成される物質で、身体のどこかで血栓があることを調べるマーカーです。この値が高い場合、脳や全身の微細な血管に血栓が生じ、障害を引き起こしている可能性があります。

治療について

新型コロナウィルス感染症後遺症は、実際には原因はまだよくわかっておらず、治療法もまだ確立していません。ですから治療は、それぞれの症状に対する対症療法が基本となっています。


当クリニックでは、内服薬治療、漢方薬による治療などを、患者さま一人一人の後遺症の状況に応じて組み合わせ、症状の改善に取り組んでいきます。また、自律神経や精神神経の障害を起こしていると考えられる場合も、内服薬や漢方薬、さらには生活習慣に関する指導やなどを行っていきます。また当院では、抗炎症作用と痛みの緩和、免疫増進の効果があると言われているプラセンタによる新型コロナウィルス感染症後遺症の症状緩和にも取り組んでいます。


新型コロナウィルス感染症後遺症には身体(器質的疾患)と精神(心理的要因)の両面からのアプローチが必要と考えられています。後遺症をひとりで抱えてしまっては、さらに症状は悪化してしまいます。悪化の予防のためには、家族や職場の理解も必要になります。まずは専門家である医師の診断を受け、自分の今の状態を明らかにしていくことが大切です。


当クリニックでは、患者さまの体と心に寄り添って、新型コロナウィルス感染症後遺症の改善に取り組んでいきますので、まずはお気軽にご相談ください。